ステーブルコインはブロックチェーンゲームをプレイする上でも欠かせない存在です。
仮想通貨の価格は変動が激しいですから、利益をステーブルコインで保存しておくブロックチェーンゲーマーも多いでしょう。
さて、ここ数日相場が大崩壊を見せましたがその要因として挙げられるのは、アルゴリズミックステーブルコインと分類されるTerraUSTこと$USTの崩壊です。
そもそもステーブルコインTerraUSTとは何だったのか?
一言でステーブルコインと言っても様々な種類が存在します。
その中で最もステーブルコインと呼べるのは以下の法定通貨担保型でしょう。
$USDT $BUSD $USDC …等。
これらは実際の現預金などの資産と1:1で発行されており、1$に戻すことが可能です。
ですので常に1$の価値を保っています。
今回崩壊したのはその中での$USTというアルゴリズミックステーブルコインと分類されるカテゴリで最も成功したものでした。
$USTの最大の特徴はその時価総額の巨大さです。
引用元:messari
このように、ほぼ直前の段階ではその時価総額はほぼ200億$に迫る規模であり、日本円にして凡そ2兆5000億円程でしょうか。(1$=130円換算)
それがここ数日でまさに崖のように急落しています。
すなわち、
仮想通貨市場から現金2兆円が突如消滅した
と考えると暴落の要因として理解しやすいかと思います。
この$USTは仮想通貨$LUNAと対になっており、$USTの価格を1$に維持する為に$LUNAが存在しています。
$USTが1$未満へ下落する場合は、LUNAが増加し売られる事でLUNAの価格が下がります。
一方で$USTが1$を超えている場合は、LUNAを焼却しながら$USTが発行されるのです。
この仕組みを一言でまとめるならば、
$USTの需要が高ければ$LUNAの価格が上がりながら$USTも増加していき1$も維持できる
という設計です。
この為、$LUNAは実際0.26$の最低値から120$手前までの上昇を見せました。
この$USTの危険な部分は、1$を維持していながらも殆ど裏付けがないので最悪0になりうるという点です。
また、下がっているときはどんどん$LUNAが増加していくので売り圧が大きくなっていき、加えるなら価格が低ければ低いほど指数関数的に$LUNAが増殖する速度が速まるという特性がありました。
その為、数日前まで4億枚程度であった$LUNAは、大暴落の影響で既に7兆枚に近い状態まで増加しています。
引用元:Terra scope
現在はTerraネットワークはブロックチェーンを停止しており、ひとまず無限増殖は落ち着いていますがLUNAの価格は一時期の120$から、なんと0.000015$程度まで下がってしまいました。
引用元:messari
しかし何故人々はこぞってこれを使ったのでしょう?
それは$USTをanchorというTerraのプロトコルにステーキングするとAPY20%という高金利が得られた面が大きいでしょう。
これは好景気の内に利益をため込んでおいて、それを不景気の時に景気を支えるために放出する景気調整の機能がありました。
そこで特に最近不景気気味であったため、人々はステーブルコインで高APYという魅力に引き付けられたのです。
そして$USTはどんどん増えていき、支えになる$LUNAの時価総額も超えてしまいました。
これらの$USTは、非常に数が多く、また1$から外れることも殆ど無かった為にDeFiの各所に溶け込むように多量に存在していました。
$USTを担保にさらにお金を借りる、それを更にleverageをかけるなどといった行為も行われていました。
それが、突然崩壊したのです。市場は大混乱。
一部レンディングプロトコル等は$LUNAのあまりの価格変動の激しさに価格追従が追い付かず、お金を抜かれてしまうといった事件も発生しました。
崩壊の原因は複数考えられますが、外部からの非常に高度な計画的攻撃も指摘されています。
2022/5/13現在も$UST/$LUNAはともに崩壊したままの状態ですが、市場はひとまず落ち着きを取り戻しています。
しかし、DeFiの中央銀行と称される事すらあった$LUNAの消失はこれからの市場への影響が不安視される所です。
この世界では日々壮大な実験が行われており、否が応でも巻き込まれる場合もあります。
全てを巻き込む可能性のあるプロジェクトはある程度チェックしておくことも時には身を守るために有効でしょう。
わたしはステーブルコインという言葉は安易に使うべきではないと思っています。というのも崩壊するステーブルコインと名乗るものは実の所、非常に多いからです。